心不全

まなぶ
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今回は心不全について復習してみました。

その中の基本となる正常な循環のメカニズムを理解するための心拍出量を規定する4つの因子を解説します。これ覚えると、後々、臨床で役に立ちますので、是非お勧めです。

正常な循環のメカニズム

心拍出量

心拍出量とは1分間に拍出する血液量で、心臓のポンプ機能の指標になります。

計算式は、心拍出量(L/分)=1回拍出量×心拍数
だいたい成人では1回拍出量(ml)が約70ml、心拍数が60~90回/分です。(※身長・体重などで異なります)
1分間に全身の血液がすべて循環するには1回心拍出量70ml×心拍数:約70回/分で4.9L/Mとなります。
一般的には体重60Kgの場合は全血液量は8%をかけて4.8Lなので、1分間で全身の循環できることが分かります。

心拍出量を規定する4つの因子を覚えよう

心拍出量の規定因子は、前負荷、後負荷、心収縮力心拍数を加えた4つとなります。

心拍出量の規定因子のどこに異常があって心不全になっているかをアセスメントに加えるだけで、その先の治療などを予測できケアにつなげることができるはずです。

心拍出量を規定する4つの因子のイメージ図

例えば、心筋梗塞で心収縮力が低下している場合(心収縮力)を想定すると、十分な左室の血液を送り出す力がないので血圧が低下し、肺水腫になって呼吸困難、起坐呼吸を起こしたりするといった左心不全症状が出てくるとアセスメントできますね。
時々、遭遇するのは血圧が高い場合(後負荷)、心臓に負担がかかり心臓の機能が悪いとすぐに左心不全に陥り、すごく息苦しく頻呼吸で冷や汗などの症状が出ることがあります。

心拍出量を規定する因子指標
血圧など頸静脈怒張
尿量
浮腫
出血
IVC所見など
後負荷血圧など
心収縮力左室駆出率(LVEF)
壁運動など
心拍数脈拍数
不整脈など
心拍出量を規定する因子と指標
まなぶ
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いかがだったでしょうか。簡単だったでしょ。

次に心不全について解説していきます。

心不全とは

心臓の器質的あるいは機能的障害により、心臓のポンプ機能が低下し、 心拍出量の低下や末梢循環不全(主要臓器の酸素需要量を満たせない)、肺や体静脈系のうっ血をきたす病態です。うっ血による症状が主体となることが多く、うっ血性心不全ともいわれます。
原因疾患には様々なものがありますが、虚血性心疾患、高血圧、弁膜症、心筋症などが多いです。

3つの分類で捉える

1.進行の速さによる分類

原疾患によりますが、心不全は急性心不全と慢性心不全に分かれます。

急性心不全

急激な心ポンプ機能の低下により血行動態の悪化が起きている状態

慢性心不全

長期的な心筋にかかる負担により拍出量を維持できなくなった状態

2.低下する心機能による分類

原疾患により、心臓のポンプ機能不全である心不全は、心室の収縮不全と拡張不全があります。

収縮不全

収縮不全では、収縮能の指標である駆出率(EF)は低下するのが特徴です。

拡張不全

拡張不全ではEFは正常に保たれます。このため、拡張不全は見逃されやすいです。最近は、拡張能はパルスドプラ心エコー法で評価が行われています。

収縮不全拡張不全
低下EF正常
心筋梗塞の既往、男性など好発例高齢者、高血圧、女性など
病気がみえる循環器vOl.2 第3版 p61の表から抜粋

3.症状や身体所見による分類

左心不全

左心不全は、心筋梗塞や弁膜症に見られる左心室の機能障害が原因で出現します。左心系からの血液の拍出量が減少するために左室・左房圧が上昇し肺うっ血をきたすもので呼吸困難やチアノ-ゼを呈します。

右心不全

右心不全は一時的原因として肺の血管障害などがありますがほとんどは左心不全による二次的なものです。右心不全は右心の機能低下により右心拍出量低下と体静脈のうっ血をきたすもので、下肢の浮腫や体重増加、食欲不振や肝腫大などが症状です。

心不全の症状

左心不全右心不全
労作時の息切れ顔面浮腫
起座呼吸頸静脈怒張
夜間発作性呼吸困難胸水
喘鳴食欲不振,悪心嘔吐
呼吸音→水泡音肝腫大
ピンク色の泡沫状痰腹水,腹部膨満,便秘
動悸下肢の浮腫
心音→Ⅲ音 Ⅳ音の聴取体重増加
易疲労感

心不全の分類や症状など、整理しておくことがアセスメントに役立ちます。

次は、よく医師の記録に記載がある、心不全で使用する分類などを説明していきます。

心不全で使用する様々な分類など

クリニカルシナリオ

2011年に改訂された急性心不全治療ガイドラインでは、いかに早期に診断、病態把握を行い、治療介入を行うかに 1 つの重点が置かれています。Mebazaaらが提唱したクリニカルシナリオという概念があります。これは急性心不全患者を救急隊到着時および病院搬送後早期の収縮期血圧値で層別化し、治療介入を早期に行おうというものです。収縮期血圧によっておおよその急性心不全の病態を分類し、来院直後の治療方針を決定するものです。

分類CS1CS2CS3CS4CS5
基準SBP>140mmHgSBP100-140mmHgSBP<100mmHgACS右心不全
治療▶NPPVおよび硝酸薬
▶容量負荷がある場合を除いて、利尿薬の適応はほとんどない
▶NPPVおよび硝酸薬
▶慢性の全身性体液貯留が認められる場合に利尿薬を使用
▶体液貯留所見がなければ容量負荷を試みる
▶強心薬
▶改善が認められなければ肺動脈カテーテル
▶血圧<100mmHg
および低灌流が持続する場合には血管収縮薬
▶NPPV
▶硝酸薬
▶心臓カテーテル検査
▶ガイドラインが推奨するACSの管理
▶IABP
▶容量負荷を避ける
▶SBP>90mmHg
および慢性の全身性体液貯留が認められる場合に利尿薬を使用
▶SBP<90mmHg
の場合は強心薬
▶SBP>100mmHg
に改善しない場合は血管収縮薬
治療目標
呼吸困難の軽減   心拍数の減少  収縮期血圧の維持と改善
状態の改善  尿量>0.5ml/kg/min  適正な灌流に回復

NYHA心機能分類

まなぶ
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NYHA心機能分類とは、心疾患の重症度を示す時に用いられている分類です。

ⅡとⅢが混乱しやすい印象です。坂道と平地で整理すると覚えやすいです。

重症特徴目安
Ⅰ度心疾患を有するが、身体活動に制限はなく、特に症状はない。無症状
Ⅱ度心疾患のために、身体活動に少しの制限はあるが、安静にすると楽になる。
通常の身体活動で疲労・動悸・呼吸困難・狭心痛を生じる。
坂道
症状出現
Ⅲ度身体活動に強い制限のある患者であるが、安静にすると楽に生活できる。
通常以下の身体活動で疲労・動悸・呼吸困難・狭心痛を生じる。
平地
症状出現
Ⅳ度心疾患を有し、いかなる身体活動をする時にも苦痛を伴う。
心不全・狭心症の徴候が安静時にも認められる事がある。
安静
症状出現
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)を参考に筆者作成

フォレスター分類

フォレスター分類はスワンガンツカテーテルを使用して分類されます。
CI(心係数)とPⅭWP(肺動脈楔入圧)の血行動態を確認します。末梢循環を保つ為にはCIは2.2ℓ/分/㎡が必要であり、肺動脈楔入圧は18mmHg以上で肺鬱血を生じることから、Ⅰ~Ⅳまでありそれぞれ当てはめ治療方針を決定していきます。

まなぶ
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CIは左心系、PCWPは右心系の血行動態と整理すると理解しやすいです。

SG(スワンガンツカテーテル)

SGはカテーテル先端にバルーンがついており、血管内へカテーテルを挿入する時はこのバルーンはしぼませておき、太い静脈にカテーテルの先端が到着したところでバルーンを膨らませる。そうすることでバルーンは血流にのり、RA→RV→PAへと導かれていく。そしてカテーテル先端にあいている穴から伝わってくる内圧波形の特徴により、カテーテル先端がどこのあるかが判断できる。
カテーテルの走行によりRA,RV,PA,PCWPの内圧測定、COの測定ができる。

Nohria-Stevenson(ノリア)分類

フォレスター分類ではスワンガンツカテーテルを使用しないと測定できないのに対して、Nohria-Stevenson(ノリア)分類では、身体所見から分類を行うので、簡便に分類できるのか特徴である。

心不全症状はありふれて判断がつきにくく、増悪しやすい

まなぶ
まなぶ

心不全症状は、倦怠感や浮腫、なんか調子悪い、息苦しい、胸の調子が悪い、最近食欲がないなどの症状はありふれており判断がつきにくいです。また、症状も軽いので患者さん自身大丈夫だろうとそのままにしておくことが多く、悪くなってから来院したりすることも少なくないです。

退院時や外来通院時に、日常生活で変わったことないか、特に運動と食事は大事ですので指導も必要ですね。今回は症状やメカニズム、スケールを学習しました。次回、検査治療、看護も勉強していく予定です。お疲れさまでした。

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